雑記

興味のあることだけ書き留める

食物アレルギー

わかりにくい食物アレルギー

さばを食べて蕁麻疹が出たら何が原因か?ほとんどの人がサバのアレルギーが原因と考えます。

ところが、アレルギーを専門にしている医師は複数の病態を想定し、正解にたどり着けるように質問したり、検査をしたりします。

例えば、

  1. サバ特有のたんばく質にアレルギー(実際は少ない)
  2. 魚全般のアレルギー(他の魚ではどうですか?)
  3. 魚肉成分のヒスチジンが保存・調理過程で細菌によって代謝されてできたヒスタミンによる中毒反応(新鮮なサバでは症状がでないのでは?)
  4. 魚に寄生するアニサキスのアレルギー( シメサバでしたか、腹痛はありましたか?)
  5. 慢性じんましんが時々出ている人で、出る直前に偶然サバを食べた(ふだんからじんましんが出やすいのでは)

などです。なお、以上の中で食物アレルギーによる症状と呼んでいいのは(1と2だけです。

即時型アレルギー症状

原因となる食物を食べて数分から2時間以内に症状が出る場合を、即時型アレルギー症状と呼びます。

症状としては、皮膚に赤みやかゆみが出ることが多いのですが、口や喉の粘膜にかゆみや腫れが出る場合や、腹痛だけのこともあります。

アナフィラキシーとは即時型アレルギー症状が身体のあちこちに同時に出るものです。食物以外に、蜂に刺されたり、医薬品の注射でもおきることがあります。日本では、はっきりわかっているケースだけで年間70人前後がアナフィラキシーで亡くなっています。

以下の診断基準(世界アレルギー機構によるもの) が代表的なものですが、症状の組み合わせ3 通り( どれかに該当すれば、アナフィラキシーの可能性が高い) といえるでしょう。

  1. (1)皮膚粘膜症状が急に出ることに加え、(2)呼吸が苦しいまたは(3)血圧が低下
  2. アレルゲンの摂取やトリガー(引き金) があったと考えられた後に、上記(1)、(2)、(3)、と(4)強い胃腸の症状の計4種のうち、2つ以上がみられる場合
  3. アレルゲンと判明しているものが体に入った後で、(3)血圧の低下があった場合

アナフィラキシーの診断基準(1~3 のいずれかに該当)

  1. 突然はじまる皮膚粘膜症状(数分~数時間) に加えて、呼吸が苦しいまたは血圧が低下(意識を失う、失禁する)
  2. アレルゲン摂取やトリガー( らしいもの) があった後に皮膚粘膜症状、呼吸苦、血圧低下、強い胃腸症状の4系統の症状のうち2つ以上がみられる場合
  3. レルゲンと判明しているものが体に入った後に血圧低下

個人産と年齢差にアレルゲンの違い

1つの食品には何種類かのたんばく質が含まれており、アレルギーをおこしやすい成分、一部の人にしか反応をおこさない成分、アレルゲンにはならない成分が混在した状態にあります。また、たんばく質ごとに、加熱によって変性しやすいもの、水に溶けにくいもの、消化されやすいものなど特徴が異なります。

そのため、同じ食物にアレルギーがあるといっても、調理その他の条件によって、症状の出方が異なる場合があります。除去の範囲の変更等はかならず医師の指示にもとづいておこなってくだ-さい。1~3に示した年齢層によるアレルゲンの違いは一般的傾向を述べたものであり、例外もあるのでご注意ください。

年齢層とアレルゲンの傾向

  1. 乳児に多く、以後なおりやすい食物アレルゲン(鶏卵、牛乳、小麦)
  2. 加齢にともなって頻度が増える食物アレルゲン(そば、ナッツ、エビ、カニ、果物、野菜、魚類、魚卵)
  3. 青年期、成人期に発症が目立つ病気やアレルゲン 小麦依存性運動誘発アナフィラキシー

アレルゲン別

●鶏卵

乳幼児に多いアレルゲンのトップです。ほとんどのアレルゲンが卵白の部分に含まれていて、熟に弱いオボアルブミンと熟に強いオポムコイドがその主なものです。オポムコイドのアレルギーが強い場合には、加熱した卵でも症状が出やすいので、注意が必要です。

一般向けの離乳食で8 ヶ月ころに卵黄を食べるように推奨されているのは、妥当な目安です。

沸騰水で12分以上ゆでた卵の黄身の部分にはアレルゲンの含有量が非常に少なくなっています。もし卵アレルギーであることを知らずに食べ症状が出た場合でも、軽いことが多いでしょう。なお、ゆでたまま放置しておくと卵白成分が卵黄に浸透してしまいます。また、他の調理方法で卵黄を分離しようとしても卵白が混入してしまうので、強い症状が出ることがあります。卵黄の次に症状が出にくい卵カロ工品は、高温で焼かれた全卵の入ったビスケットや、高温の油で揚げた衣(表面近くの部分) です。それより低い加熱温度では、オポムコイドヘのアレルギーの有無で症状の出方にばらつきが出ます。

●牛乳

乳幼児に多いアレルゲンで、第2位の頻度でみられます。カゼインとβ ラクトグロブリンが主なアレルゲンで、これらは熱に強いため、煮沸してもアレルギーをおこす強さはほぼ変わりません。

食パンやビスケットなど小麦粉と一緒に焼いた製品中の牛乳・粉乳は、それらに含まれているものと同じ量の牛乳をそのまま飲んだ場合に比べて、症状をおこす力が弱いことが知られています。牛乳も卵白と同様、血液検査で特異的垣E 抗体価が陽性を示しても、低い数値であるほど、実際にはアレルギーではない人の割合が多くなります。しかし、数値が低い人の中にも強いアレルギー症状が出る人もいるので、医師による適切な診断が必要になります。年齢が上がるにつれて、一般に抗体価は下がる傾向にあり、牛乳を飲めるようになる人は増えていきますが、一部の子どもでは抗体価が高いまま続いて、なかなか飲めるようにならない場合があります。

また、除去を解除する際には、他の食品よりも遅いペースでおこなう必要がある人が目立ちます。ヨーグルトがアレルギーをおこす力は牛乳と同等です。チーズはたんばく質の含有量が多い食品ですので、一定量の牛乳が飲める状態でも、不用意に多く食べてしまうと症状がでることもあります。

●小麦

全年齢を対象にした原因アレルゲンの集計で、小麦アレルギーは第3位の頻度でみられます。新規発症例は、幼児期にいったん順位が下がりますが、青年期以降に再びランク上位に戻ります。

小麦アレルゲンは、水溶性のものと、水に溶けないグルテン( クリアジンとグルテニンが結合したもの) に分けられます。

●そば

激しいアレルギー症状が出ることがあるため、警戒されているアレルゲンです。そのため、症状が出たことがなくても、他のアレルゲン検査のついでに調べられ、ソバ特異的IgE抗体が陽性であると、そのまま除去を続けている場合がよくみられます。

●ピーナッツ、クルミ、その他のナッツ、ゴマ

アナフィラシキシーをおこすことが多いアレルゲンです。過去に症状を引きおこしたことが明らかであって、特異的Ig E 抗体や皮膚プリックテストが陽性ならば、アレルギーの原因として抜います。

●エビ・カニ

幼児期での発症は少なく、加齢とともに発症者が増え、成人期ではトップクラスの食物アレルゲンです。

明らかに即時型の症状を示すにもかかわらず、特異的垣E 抗体価が陰性になることもあり、逆に抗体価が陽性であっても、食べて症状が出ないことがあります。血液検査の結果が陽性であるという理由で、一度も食べたことがないお子さんは、専門の医療機関で確認をする必要があります。

エビアレルギーの人の多くは、カニを食べたときにも症状が出るのですが、イカ・タコでは症状が出る頻度は低いので、それぞれ個別に確認する必要があります。

●魚類

乳児期の発症は少なく、幼児期以降に多種の魚に対する即時型アレルギー症状がみられるようになり、加齢に伴う改善はあまりありません。

魚のたんばく質のうちパルプアルブミンが主なアレルゲンで、多くの魚で同じように症状が出ます。各種魚の特異的Ig E 抗体価は陽性に出ますが、数値と症状の出やすさには関連がみられません。一部の魚、すり身を使った練り製品や缶詰の一部が食べられるようになる場合がありますので、医師と定期的に相談しましょう。

●魚卵

イクラ、次いでタラコのアレルギーがよくみられます。この2 類は特異的IgE抗体価を調べることができ、アレルギーの有無をおおむね反映します。

その他の魚卵でもアレルギー症状が出ることがありますが、個々の食品ごとに対応を決める必要があります。これまで症状が出たことがないのであれば、子持ちシシャモなどを制限する必要はありません。また、魚卵のアレルギーは、魚肉や鶏卵のアレルギーとは無関係です。

●果物・野菜

幼児期からみられるキウイや長芋など単独の即時型アレルギーと、学童期以降に花粉症に関連して発症する同一グループ内の多種類の果物で口腔アレルギー症状が出るものと、2つのタイプがあります。

単独の果物・野菜アレルギーの場合には、症状がはっきりしている場合が多く、特異的IgE抗体価が陽性になることが多いので、医師が診断する際の根拠として役に立ちます。抗体価が徐々に低下した場合に、食べられるようになることが多いでしょう。果物・野菜アレルギーの原因食品の多くは、加熱することで症状をおこしにくくなるので、自宅で加熱調理するほか、缶詰や加熱殺菌された果汁、ジャムなどとして利用できるものがあります。

最近は、環境ホルモンンなどのことも考えないといけません。http://life-ddefense.com/life/